刀剣×情報系 刀剣自由研究展

刀剣×情報系Webオンリーイベント刀剣自由研究展の企画ページです。

情報系まとめ作成者に聞く!(vol10:珂雪様)

お名前

珂雪

出している本/ネップリの主な傾向やコンセプトを教えてください(刀の調査/刀以外の調査/旅行記 等)

刀の調査です。

あなたのテーマ周辺で、浅く広く系のおすすめ本をMAX5冊くらいまで教えてください

備前刀ー日本刀の王者ー 岡山文庫
備前刀ー日本刀の王者ー(図録)
備前刀の歴史 吉備人出版
国宝 上杉家文書 図説 -古文書が語りはじめた-(図録)
皇室・将軍家・大名家刀剣目録 雄山閣

あなたの調べているテーマに該当する、深くコアな内容のおすすめ本をMAX5冊くらいまで教えてください

長船町史 刀剣編図録 長船町
華やかな日本刀 備前一文字(図録)
上杉家の名刀と三十五腰(図録)
光徳刀絵図集成 便利堂
古刀銘盡大全 仰木伊織

調査を始めたきっかけを教えてください

元々美術品が好きで、西洋美術を中心に勉強をしていましたが、自分の国の文化財がわからないのは嫌だな、と日本美術の勉強を始めました。
日本刀を勉強したら幅広く知識がつくよ!と言われて調べ始め、審神者就任も相まって無事沼落ちしました。
個人的に調べてはいましたが、同人誌を作成してみようと考えたのは、つい最近のことです。

(ネット公開/ネップリ/本など形を問わず)発信したきっかけをおしえてください

昨今の文化財を取り巻く環境は厳しく、山鳥毛を後世に残すために、よき理解者を増やさなければならないと考えました。
山鳥毛は上杉家秘蔵品のため資料が少なく、個人蔵期間も長いため、自分も調べるのが大変でした。
クラウドファンディングやゲーム実装で、山鳥毛が注目される中、この調べにくさは理解者獲得の障害になると思いました。
そこで、今まで集めた資料をまとめ、次の人に繋げる足掛かりを作ろうと作成しました。

どうか我が屍を超えていってくだされ…

集めた資料はどんな感じで管理していますか?(保管およびインデックスつけ等)

積んでます。

むしろ他の方どうされてますか。基本的に蔵書を参考にしつつ、図書館などで複写したものについては、ひとつのバインダーにまとめています。

本を作るときのざっくり手順やスケジュール感、こだわり等々を教えてください

私も是非教えて欲しいです。段取りやスケジュールがわからず、かなり慌ててました。
写真や資料などの引用を考える際に、各機関の利用規約を確認し、申請から許可が降りるまでの時間を計算したりしました。
そのため、構想を練る段階で申請に必要な書類や段取りを確認する必要がありました。

(本)初めて本を作ったときに困ったことと、どんなふうに解決したかを教えてください

パソコンとプリンターすらない状態で、果たして本が作れるのか?という所からスタートでした。
携帯で作成し、コンビニでプリントするなど悪戦苦闘していました。結果として、文字の大きさが想定より小さくなってしまいましたが、パソコンがなくても、なんとかなるものだな、と思いました。

(本)印刷所選びの基準を教えてください

該当なし

(本)印刷所用の原稿を作るとき、表紙と本文それぞれどのようなソフトを使用していますか?

該当なし

あなたの資料の探し方を教えてください

とりあえず、関連のありそうな本を30〜100冊程読むと、共通の本や論文が文中に出てきたり、参考文献に登場します。
次にその共通する参考文献を読んで…と繰り返していきます。
また、詳しい人に聞くと、自分の蔵書や読んだ範囲から外れていた本が見つかったり、思わぬ話が聞けたりするので、人に聞くのも大切です。
先日、どうやって調べているかツイッターで聞いてみたところ、色々教えていただけたので、もっと図書館や検索方法を活用していきたいなと思います。

近現代の人物について扱った、あるいは扱いを検討したことはありますか?ある場合、どのような配慮をしましたか?

そもそも経験が少ないのですが、引用等を行う際には、お名前と著書を書く必要があると思います。また、個人的にお聞きした話などは、お話を聞いたご本人に記載してよいかの確認をとります。ただ、判断基準や配慮が難しいので避けたりする場合もあると思います

伝承がたどりきれなかったとき:資料をたどっていって、一旦行き止まりになったときにどうしますか?

詳しい方に聞きに行きます。

重要な資料の存在を教えてくれた方などはいますか?まとめる上で特別な扱いや事前のお話などしましたか?

学芸員や研究者の方々に話をお聞きした際に、今聞いた内容は掲載しても大丈夫か、の確認をとります。実際、詳しく聞いたお話でも、掲載NGになったものもあります。
また、写真についても、それぞれの候補の利用規約を確認したり、所蔵元と交渉を行いましたが、掲載に至らなかったものもあります。
引用についても許可をいただくために、出版元に確認をとったり、著者の先生御本人にお手紙を書いたりしました。

マイナスの印象を与えるようなテーマを扱うか検討したことはありますか?どのように対応しましたか?

マイナス、と言われるもののニュアンスが掴めているか不安ですが…
文化財を後世に継承するにあたり、辿ってきた経緯、歴史などを明らかにすることが重要になってきます。そうすることによって、その文化財の正しい保存方法がわかったり、新たな発見が生まれたりします。
しかし、その文化財の辿った道のりを明らかにすることは、よい評価に繋がるとは限りません。有名武将が使ったわけではなかった、伝わっていた製作年代が間違っていた、ということがあるかもしれません。実際、いくつも事例がありますし…

しかし、マイナスの印象を与えるからといって、その調査の結果を歪めるわけにはいかないと思います。そんなことをしては、歴史とその文化財そのものの価値を歪めてしまいます。それは、巡り巡ってその文化財の破壊に繋がってしまうことも考えられます。
ですので、調査した結果がマイナスの内容を含むものであっても、たぶん、私はそのまま書くのではないかなぁと思います。

マイナスの内容を書く事を抑制してしまうと、結果として議論の幅が狭まってしまうので、それもよろしくないのかな、と思います。幅広い議論が、もっと気軽にできるとよいですね。


信頼性の低いネタは扱いますか? 扱う場合には何か気をつけていることなどはありますか?

できるだけ根拠を示したうえで、可能性としては低い、といった表現をするかと思います。

調べてみたら予想と違ってびっくり!となったことがあればおしえてください

山鳥毛と大包平が、面白い接点があったので、詳しく調べると楽しそうだなと思います。また、山鳥毛周辺の面白いお話は、口伝がとても多かったので、いつか明文化されるといいな…
また、文献に書かれた研ぎの内容と実物が違ったりしたので、正確な情報はどれか確かめる必要があるな、と感じました。

まとめたことで、何か得たもの、あるいは起こった出来事、思わぬ反応などありましたら教えてください

手紙を書いたり、何度も電話をしたのでメンタルが鍛えられました。最初は声が震えて大変でした。目指せ!メンタル玉鋼!
携帯での文章作成能力があがりました。
文通が始まり、手紙を書くのが楽しくなりました。
研究者の方から資料を頂戴しました。家宝にします。

何か補足だったり、語りたいことがあればどうぞ

美術品はいいですぞ!日本刀はもちろん、茶器や七宝焼、蒔絵、絵巻に仏像…!
こういった文化財を、後世までしっかり残していきたいですね。

ちなみに、同人誌を書き上げた時に「脱稿しました!」と一度言ってみたかったのですが、無事達成できました、

これから調査してみる/まとめを作ってみる方に向けて一言!

得るものがたくさんありましたよ!是非一度チャレンジしてみてください!