刀剣×情報系 刀剣自由研究展

刀剣×情報系Webオンリーイベント刀剣自由研究展の企画ページです。

情報系まとめ作成者に聞く!(vol7:上月(上月屋)様)

お名前

上月(上月屋)

出している本/ネップリの主な傾向やコンセプトを教えてください(刀の調査/刀以外の調査/旅行記 等)

日本の住宅、庭園

あなたのテーマ周辺で、浅く広く系のおすすめ本をMAX5冊くらいまで教えてください

・『MAEDAXの背景萌え!』/アシスタント背景美塾MAEDAX派/一迅社
・『和家具』/小泉和子中央公論社
・『図説 日本インテリアの歴史: 室内でみる日本住宅 古代から近代まで』/小泉和子河出書房新社
・『しかけに感動する「京都名庭園」』/烏賀陽百合/(株)誠文堂新光社
・『図解雑学 日本庭園』/重森千靑/(株)ナツメ社

あなたの調べているテーマに該当する、深くコアな内容のおすすめ本をMAX5冊くらいまで教えてください

・『住まいの解剖図鑑』/増田奏/株式会社エクスナレッジ
・『設計の基本と納まり 和風デザイン図鑑』/井松志郎/株式会社エクスナレッジ
・『建築知識2019年10月号』/澤井聖一/株式会社エクスナレッジ
・『ビジュアル 日本の住まいの歴史』/小泉和子ゆまに書房
・『物語ものの建築史』/鹿島出版会

調査を始めたきっかけを教えてください

・子供のころから歴史的建造物を見るのが好きだったから。
・建築設計業なので、仕事の参考にもなるため。

(ネット公開/ネップリ/本など形を問わず)発信したきっかけをおしえてください

・C97(2019年12月開催)に、友人とノリで申し込んだのがキッカケです。
・かねてから、商業誌や二次創作を作品を拝見していて「和室の、ここの収まりが違うのが気になる~!絵がうまいのにもったいない!」→「そういえば、わかりやすい和室の描き方の本ってないなあ」→「じゃあ自分が描くか!」「刀剣乱舞ジャンルは、和室の描き方を知りたい人が多そうだから、手に取ってもらいやすいかも」と、本の企画を立てました。

集めた資料はどんな感じで管理していますか?(保管およびインデックスつけ等)

・自分の本と図書館の本の比率は、1:2くらいです。(高額な本・現在入手できない本もあり、全部購入したら大変なことになるため)
・「あの記述はどの本に書いてあったかな…」と思い出せるよう、エクセルでリストにまとめています。参考文献リストのもとにもなります。
・原稿中は、デスクの背後のカウンターの上に本をジャンル別に立てて並べ、すぐ手に取れるようにしています。

本を作るときのざっくり手順やスケジュール感、こだわり等々を教えてください

【手順】
①本のテーマ・コンセプトをざっくり決める。(ここが一番楽しい!)
②描けそうか下調べをする。関連書籍を1か月ほど乱読する。
③プロットをエクセルで作成。1Pで説明する内容=1行に書いて、Pの順番とP数を考えていく。
④発行日(イベント)を決める。条件に合う印刷所とプランを探し、〆切とスケジュールを設定。この時点で、P数と頒布価格が大体決まる。
※実際には、③④は並行して進行。
⑤作業量を洗い出して、TODOリスト作成。入稿日めがけて、ひたすら描く!

【こだわり】
「沢山の方に読んでいただきたい」が最優先です。
・手にとりやすい頒布価格に(→装丁はシンプルに)
・細く長く頒布する(→在庫を抱えるリスク込みで、財布が持ちこたえられる印刷代に収める)
・内容に集中できるよう、本文レイアウトや表組は見やすくする。
・その分野の入り口にしていただきたいので、楽しく親しみやすい雰囲気の本にする。
(プレゼン系のTV番組が好きなので、アメトーーク、激レアさん、ヘウレーカ、歴史秘話ヒストリアなどの表現を参考に)

【冊数】
冊数は秘密です♥ 既刊4冊とも、売れ行きを見ながら再版をかけてます。

(本)初めて本を作ったときに困ったことと、どんなふうに解決したかを教えてください

・PCのモニターと、印刷した時の色の出方の違い。(モニターで表現可能な色域>印刷で出る色域のため、出せない色はくすみます)印刷に出る色の範囲を調べて、その範囲内でカラー原稿を塗りました。
ただし、印刷所によっても色の出方が違うので…。原稿と印刷を見比べて、再版時は調整しています。

・入稿データを作る際の、クリスタの使い方。(1枚絵を描くときより、注意事項が増えます)調べてもどうしてもわからないことは、友人(現役同人作家)に聞きました。

(本)印刷所選びの基準を教えてください

・〆切が遅い=執筆期間が長いほうが助かる!
・品質と価格のバランスが良い
・本文カラーの本は、少部数から印刷できること。
(本文カラーの本を数百部単位で刷るのは、初期費用&在庫リスクが高すぎるので)

(本)印刷所用の原稿を作るとき、表紙と本文それぞれどのようなソフトを使用していますか?

CLIP STUDIO PAINT EX
表紙と本文、メインで使用。背幅計算やノンブルも打て、これ1つで完成原稿を作れます。ページを一覧表示する機能は、全体の流れや進捗を確認するときにとても便利です。

IllustratorExcel
 レイアウト、表の作成など

Photoshop
 画像の加工

あなたの資料の探し方を教えてください

私の本は「カオスな分野の最大公約数を、分かりやすくまとめる」なので、今のところ一般書籍で足りています。
「書店や図書館で、片っ端から流し見→よさげな本を数冊選んで読む→参考文献に記載されている本も読んでみる」です。関連する企画展の図録も便利です。

よって、「どこかにあるかもしれない、真実が書いてある資料(論文、古文書など)を探しあてる」という作業は、発生しておりません。

※大学時代(史学科)はそういう資料を探して研究していたので、「知る人ぞ知る資料」を探し当てた時の、ワクワク感は分かります。特定の地域の歴史でしたら、県史や地元の博物館の刊行物などがいいかもしれません。(あまり参考にならなくて、すみません…。)

近現代の人物について扱った、あるいは扱いを検討したことはありますか?ある場合、どのような配慮をしましたか?

特にありません。

伝承がたどりきれなかったとき:資料をたどっていって、一旦行き止まりになったときにどうしますか?

「ここまでは分かりました、この先は分かりません」と明記します。
・その先の資料を知っている方が、情報提供してくれるかもしれない
・その先を調べてくれる人が現れるかもしれないので。

(建物の場合は、現存していない、史料や絵図や図面がない、遺構もないと、行き止まり確定です…)

重要な資料の存在を教えてくれた方などはいますか?まとめる上で特別な扱いや事前のお話などしましたか?

特にありません。

マイナスの印象を与えるようなテーマを扱うか検討したことはありますか?どのように対応しましたか?

特にありません。

信頼性の低いネタは扱いますか? 扱う場合には何か気をつけていることなどはありますか?

明らかなデマは「こう信じられていますが、後世の作り話です。正しくはこうです。」と出典を示して書きます。(『~東京下町』の両国花火大会の発祥の話)

調べてみたら予想と違ってびっくり!となったことがあればおしえてください

特にありません。
「今までの自分の理解が間違っていた!1つ勉強になった!」という事は、こまごまとあります。

まとめたことで、何か得たもの、あるいは起こった出来事、思わぬ反応などありましたら教えてください

(1)イベント会場やアンケート(Googleフォーム)で、予想以上に感想がいただけたこと。
執筆中は「地味な分野だから、需要があるのか不安だなあ…」→
頒布後に「こういう本が欲しかったです!」と言っていただけて嬉しかったです。

(2)交流が広がったこと。
自分の好きを詰め込んだ本=自分の名刺代わり、プレゼンツールです!
「これが好きな人」ということを、(自分の預かり知らぬところでも)意外と広く認知していただけます。

(3)1冊目はすべてが手探りで苦労しましたが、要領が分かったので2冊目以降は気軽に出せるようになったこと。
「自分の筆の速さや、〆切前にどれくらい追い込みをかけられるか」という、気力・体力面の限界もわかりました。

(4)人に説明する場合は、アウトプットの数倍インプットし、整理してからでないと文字にできません。理解があいまいだったことを調べなおしたり、自分の知識が整理できました。

何か補足だったり、語りたいことがあればどうぞ

刀剣は日本の様々な文化に関わっているので(工芸、芸能、信仰、言葉など)、いろいろな角度から考察できる、幅広く・奥深いジャンルだなと思います。

リアルタイムで同好の士と交流できるので毎日楽しいですし、コラボイベントも色々開催されており、刀剣乱舞に出会えて本当によかったです!(いままでのジャンルは、ピークを過ぎてからハマることが多かったので…。刀剣乱舞は例外的に、2015年1月のサービス開始からゲーム開始&ハマりました。)

これからも、ゆるゆると審神者業を続け、博物館や聖地めぐりを楽しんでいきたいです。

これから調査してみる/まとめを作ってみる方に向けて一言!

調べたことを眠らせているのは、もったいないですよ!
どこかに、その情報を知りたい人がいるかもしれません…。

新発見ではないこと(既存の本を数冊読めばわかる内容)でも、未知の分野の本を数冊読むのは、なかなか大変です。「知りたい情報を選んで、分かりやすくまとめてくれる本」というのは、価値があると思います。

・PDFの無料配布やネットプリント
費用負担ゼロで始められます。

・紙の本
「少部数・低コスト」で印刷できるようになりました。
「イベントでの頒布はしない、記念に数冊作って自分と友達に渡す」ことからでもいいので、まずは一冊作ってみてください。刷り上がった本を手に取ったときの感動、これは癖になります!(これが味わいたくて、また本を作りたくなっているのかもしれません)

作る側に立ってみて、はじめて見えてくる景色がありました。楽しいですよ~。