情報系まとめ作成者に聞く!(vol13:伴野鼎様)
お名前
伴野鼎
(ネット公開/ネップリ/本など形を問わず)発信したきっかけをおしえてください
・いいかげん何らかの形でまとめないと、自分がレファレンスに困る。
・情報系アンソロと聞いて、「持ち主を布教するきっかけでは?」と思った。
・コロナ禍でイベントが無くなって印刷所が困ってると聞いて。
集めた資料はどんな感じで管理していますか?(保管およびインデックスつけ等)
基本的に手に入る書籍は買う(そこらの図書館に無い)ので、本棚にそのコーナーができています。郷土史などは複写したものを、最終的にPDF保存。
あと暇ができたらAWSか何かでDBをこさえて、自分が検索しやすくしたい(夢)。
本を作るときのざっくり手順やスケジュール感、こだわり等々を教えてください
イベントにあまり合わせてないので、他の皆さんが見たら発狂しそうなダラダラしたスケジュールです…
何を書くか、だいたいの章立てと小見出しをイメージして埋めていく感じ。
こだわりは「LaTeXで版下作成」です。商業出版かと思う厚さの大作や引用文献の使い回し(…)も管理がとても楽。HTML直打ちした覚えのある古のオタクは使いこなせると思います。
(本)初めて本を作ったときに困ったことと、どんなふうに解決したかを教えてください
部数が全く見えなかったのでオンデマンドを考えたんですが、しわすさんから「それじゃ少ない」と指摘されてオフセで刷りました。売れました。(惟澄さんは熊本近辺では一部から人気あるので、売り先がいくつかあったからですが)
(本)印刷所用の原稿を作るとき、表紙と本文それぞれどのようなソフトを使用していますか?
版下をLaTeXで作成するので、
・本文: TeXLive(TeXを動かすスイート)のエディタ
・図版作成: Inkscape
中表紙までは上記で行います。
表紙はお願いして作ってもらったのをクリスタでバーコードとか入れてます。
あなたの資料の探し方を教えてください
カーリルや国会図書館オンラインで「キーワード検索」。
結構雑に、たとえば本文内に『阿蘇』が出てくるのをとにかく結果を出します。ジャンルは絞りません。
明らかに作者名とかは検索結果を見て自分の目で弾いていきます。
そして郷土史。県や市町村で当たり外れが大きいですが、それでも外せない資料です。
あと、調べていく中で疑問に思ったことや、作刀された時代の背景などの資料は必要ではありませんか?私は「北条得宗家からの傍系も傍系、鎮西阿蘇北条家」の資料が欲しくてしょうがないのですが、鎌倉北条家の資料を手に届くだけかき集めてもほんのちょびっとしか無いので絶賛募集中です。
近現代の人物について扱った、あるいは扱いを検討したことはありますか?ある場合、どのような配慮をしましたか?
本来の所有者が物理的に遠過ぎて、ご挨拶に早々行ける距離でないのもあり、最初から触れていません。
伝承がたどりきれなかったとき:資料をたどっていって、一旦行き止まりになったときにどうしますか?
行き止まります。
そして、「○○時代の『***(文献名)』までは遡ることができるが、それ以前に遡る手がかりは現在見当たらない」などと書いておきます。
新史料が発見された未来、さらに遡ろうという人が出てきたら、その記録が「○年にはここまで誰か遡ってくれてた」という手がかりになります。ありがとう。
重要な資料の存在を教えてくれた方などはいますか?まとめる上で特別な扱いや事前のお話などしましたか?
ここにいらっしゃる中で挙げるとしわすさんには大変お世話になっており、普通に引用文献に載せ、ウスイホンになってない場合も脚注に「しわす(2017)によると」とかって書いてます。Twitterのツイートだったりする時は、リンクがあるとなお良いのかも。
信頼性の低いネタは扱いますか? 扱う場合には何か気をつけていることなどはありますか?
デマの類いは「このような理由でデマです」という形で扱います。
蛍丸の伝説に関しては、阿蘇家に伝わる内容を原典とし、江戸期の本の記述を「二次創作物の読み比べ」的に取り上げたり。
信憑性は低くともセンシティブな背景のありそうなネタは、「こういうことですかね」ぐらいの解説にとどめています。
調べてみたら予想と違ってびっくり!となったことがあればおしえてください
えっと蛍丸(来国俊の太刀)が鎌倉幕府から当時の大宮司嫡男の元服祝いに、諱と一緒に贈られた可能性が出てきたこと?
まあ奉納刀として作刀されたなら、「八幡大菩薩」なんて彫って寄越さないですよ、阿蘇大明神に。そこは予想通り。
…え?そういうことじゃなく?
まとめたことで、何か得たもの、あるいは起こった出来事、思わぬ反応などありましたら教えてください
阿蘇神社とつながりました。まさかの。
阿蘇神社の学芸員さんに「惟澄さんで一冊書けるの⁈」と言われました。ホントにねえ。
「恵良」姓の人からの購入の申し込みがありました。ルーツが知りたいとのこと。
あと、惟澄さんの法事(656回忌ぐらい)に行きました。神事まだやってくれてる神社があるなんてびっくらこいた。
何か補足だったり、語りたいことがあればどうぞ
意外なところの知識が深掘りのきっかけになったりすることがあるので、刀の歴史を遡る人は、持ち主の趣味とか信仰とか主君との関係とかも一緒に調査されることをお勧めします。(サラッと無茶振り)
これから調査してみる/まとめを作ってみる方に向けて一言!
こわくなんかないぞ、すべてがつながり謎が解けていくのはすぐに気持ちよくなるから。最高に「ハイ」ってやつだ!
まあ、その解けた答えが次の謎(調査対象)なんですけどね。