刀剣×情報系 刀剣自由研究展

刀剣×情報系Webオンリーイベント刀剣自由研究展の企画ページです。

情報系まとめ作成者に聞く!(vol12:ゆび様)

お名前

ゆび

出している本/ネップリの主な傾向やコンセプトを教えてください(刀の調査/刀以外の調査/旅行記 等)

新々刀、特に水心子正秀に関すること (刀工・水心子正秀の鍛刀法及びその周辺技術の解説、刀剣乱舞でのキャラやストーリーについての考察)

あなたのテーマ周辺で、浅く広く系のおすすめ本をMAX5冊くらいまで教えてください

『作刀の伝統技法』鈴木卓夫/著…現代のたたら製鉄・作刀技術だけでなく、研磨・刀装についてもわかる。図や写真も多くて、わかりやすい。
『ふでばこ 39号』白鳳堂/刊…写真が多くて楽しい。たたら製鉄の話から鍛刀法までわかりやすい。
『人はどのように鉄を作ってきたか』永田和宏/著…世界の製鉄法について浅く広い本。たたら製鉄の話ももちろんある。ブルーバックスから出てるので、比較的入手しやすく読みやすい。
『刃物の見方』岩崎航介/著…刃物に関して長年研究されてきた方の刃物の本。日本刀の話もしっかりある。むちゃくちゃ面白い。面白いけど、もしかしたら基礎的な金属の知識がないと面白くないかもしれない。

あなたの調べているテーマに該当する、深くコアな内容のおすすめ本をMAX5冊くらいまで教えてください

『水心子正秀とその一門』黒江二郎/著…水心子正秀について知りたければ一度は読んでほしい。水心子とその弟子たちの基本的な情報が載ってます。水心子の伝書もまとめて読めるので良い。現在、入手困難な本なので、読むのにちょっと大変かも…
『日本刀の科学的研究』俵国一/著…日本刀に関して、多分一番古い研究報告。科学的な面について知りたければ1度は読むべき本かと。材料科学の話から力学の話まで幅広くて楽しい。
『日本刀の材料科学』北田正弘/著…日本刀の微細構造について知りたい人におすすめ。いろんな時代・形状の刀の顕微鏡写真が載ってる。日本刀に関する研究としては、比較的新しい本。
『たたら吹製鉄の成立と展開』角田徳幸/著…たたら製鉄に関する調査研究報告。比較的新しい本。日本各地のたたら製鉄から韓国古来の製鉄にまで調査が及ぶ。
東京市史稿 産業篇 第55号』
天保13年、天保の改革時の経済・流通政策に関する史料が、現代語訳されて読める。量が凄い。でも、読みやすくて有難い。改革の細かい動きが見えて面白い。他の号も史料もりもりで面白いです。、

調査を始めたきっかけを教えてください

水心子正秀が山形出身であることを知り、かつて県民だった私は、親近感を覚え、詳しく知りたいと思うようになったため。

(ネット公開/ネップリ/本など形を問わず)発信したきっかけをおしえてください

純粋に「水心子正秀すげー!」と思ったことを、誰かに聞いて欲しかったため。
また、読んだ方から新たな情報や別な解釈がもらえるかもしれない可能性に期待して。

集めた資料はどんな感じで管理していますか?(保管およびインデックスつけ等)

必要そうな資料は全てPDF化して、タブレット端末(オフラインで使用)で管理しています。フォルダは本や著者別につけてます。
、分厚い本や古い本は、アプリ「Microsoft Office Lens」でPDF化。資料を写真に撮ると、歪みを取って読みやすくして、まとめてPDFにしてくれる無料のアプリです。

本を作るときのざっくり手順やスケジュール感、こだわり等々を教えてください

『剣工秘伝志』を読む本を書いているときは、水心子正秀の伝書を読む(意訳する)→各項に一致する作業について調べる→その工程に関する調査報告を探して読む→まとめノートをつくる→本文(小説部分)をワードで書く→イラストを描きつつ、原稿データを構築、という流れでやってます。
この手順で、だいたい半年くらいかけてます。わ一番時間使うのが、まとめノートをつくるところです。ノートは、本に書いてあることをざーっと書き出す用と、それを噛み砕いてまとめる用の2種類用意してます。

(本)初めて本を作ったときに困ったことと、どんなふうに解決したかを教えてください

制作作業で困ったことはなかったです。強いて言うなら、何部刷ればいいかわかりにくかったところですかね…あまり見かけない理系の話なので、需要が読めなかった… 最終的に、最初はちょっと刷って様子を見、後から追加することにしました。今のところ、100冊は刷ってないです。

(本)印刷所選びの基準を教えてください

仕様や締切をギリギリまで調整できるところ。冊数はそんなに必要としていないので、オンデマンド印刷でもOKとしています。安い方が嬉しい。特殊加工もできるとなお楽しい。
…という条件で昔、探して見つけたのが、今お世話になっているところ。もう数年ここで変えてないです。

(本)印刷所用の原稿を作るとき、表紙と本文それぞれどのようなソフトを使用していますか?

表紙:メディバンペイント
本文:Affinity Publisher (文章)
メディバンペイント(イラスト)

メディバンペイントは無料イラストソフト。CMYK出力ができないけど、シンプルで使いやすくて好き。
Affinity Publisherは買い切りのInDesignみたいなソフト。横書きしか対応していないのですが、それ以外は機能豊富で楽しい。

あなたの資料の探し方を教えてください

まず、テーマに合いそうな本を図書館や本屋で探して、その本の参考文献を読んでみたり、著者名で本・論文を検索したり。学術ジャーナルプラットフォーム・J-STAGEに日本刀関連のキーワードを入れて直接検索することもある。ゆかりの地(正秀で言う山形)の図書館で資料を探すこともある。

近現代の人物について扱った、あるいは扱いを検討したことはありますか?ある場合、どのような配慮をしましたか?

あまり深くは扱ったことないです。「この調査をしたのはこの人」(名前)という程度まで。

伝承がたどりきれなかったとき:資料をたどっていって、一旦行き止まりになったときにどうしますか?

別な説がありそうなら、そちらも調べてみます。また、どこかで自分が解釈を間違えている可能性があるかもしれないので、大元の文(私の場合、正秀の書いた本など)まで戻って読み直し、別なルートを探します。
それでもどうにもならないときはそこでゴールとして、その資料を利用するかしないか判断します。調べた結果よくわからなかったので、本では説明を省いた、みたいなことは、私はよくあります。
あとは、公開した後に、読んだ人から情報もらえたらラッキーだなぁ…とか思ってます。、

重要な資料の存在を教えてくれた方などはいますか?まとめる上で特別な扱いや事前のお話などしましたか?

今のところないです。、

マイナスの印象を与えるようなテーマを扱うか検討したことはありますか?どのように対応しましたか?

今のところないです…多分…あったとしても、気にせず扱ってますね。もしゴングが鳴っても、「私はこう思います」っていう、テーマに対する考えがちゃんと言えればいいかなと思っています。

信頼性の低いネタは扱いますか? 扱う場合には何か気をつけていることなどはありますか?

ネタ元の根拠を見て、納得できなければ扱わないです。納得できれば「こういう説もある」というように、余談として扱います。

調べてみたら予想と違ってびっくり!となったことがあればおしえてください

古代のたたら製鉄の話が、いろいろ入り組んでて驚き…まとめるのが大変でした。、

まとめたことで、何か得たもの、あるいは起こった出来事、思わぬ反応などありましたら教えてください

今のところ大きなものはないのですが、いろんな方々から「わかりやすい」「楽しい」という感想をもらってとても嬉しかったです。あと、予想以上の部数が出ていて、こういう話も気になってる人多いんだなぁ、と思いました。、

何か補足だったり、語りたいことがあればどうぞ

資料を読み続けてたり、作業に集中すると、全身バッキバキになりやすいので、気をつけましょう…特に、椅子と机は大事。お値段が、少し高くても、身体に合うものを。睡眠と食事も忘れないで。

これから調査してみる/まとめを作ってみる方に向けて一言!

私が本を書いたきっかけのひとつに「自分にとってわかりやすくて、自分が楽しめる参考書が欲しい!」という欲望がありました。自分が知りたくてたまらないことを、自分が納得できるまで追いかけて、自分が満足するまでこだわれるのが、同人誌の良いところです。あなたが読みたい本を作っちゃいましょう。どんなことより、自分が楽しめるのが一番大事です。良い自由研究ライフを!